たゆたふままに

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「梢にまだ陽のあるうちに」     坂口康

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帯に長編フィクションと書いてはあるのだが、自伝というかノンフィクションのようなお話。むかーし母がテレビの時代劇に映った隅田川を見て、「隅田川もずいぶんきれいになったわね~」なんて言って大笑いしたことがあったのだが、この本を読んでいると、「母に伝え聞いたことのある疎開とは、ずいぶん違うソカイもあったのねー」なんて感想を持ちながら、読後、「あれ、フィクションだった」と・・・・。しばし脳が混乱し、創作の隅田川映像を見ていた笑った母を思い出し、疎開を生きた人々とその時代を想像した。

主人公はヤスオ。ある日、ニューヨークのギャラリーで偶然目にした一枚の絵から、記憶がゆすぶられ遠い過去が呼び起されていく。疎開先での風景から始まる少年時代、大きな大きな木の記憶。そこに集う人々、出来事が描かれていく。そして徐々に心がゆすぶられた理由が分かってくる。創作とは思えない納得感、というか現実感あるものとして体に沁みこんできて、あぁ、長く生きていれば、こんなこともあるのかもしれない、あるんだなと思えてくる。ドラマチックなのに大げさでなく、味わい深く心に残る一冊。




画像は2014.10.30.東京都にて、
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by yuhu811 | 2014-11-11 18:14

「眠りの庭」     千草茜

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アカイツタ、イヌガン、の二話からなる物語。始まりは学園アニメ風なのだが、読み進んでいくうちにどろりとした色と匂いが満ちてきて、ゾクッとする。最後はやや不完全燃焼な気もするが、これが作者の狙いなのかもしれない。ホラーというのかミステリーというのか分からないけど面白い。




画像は2014.11.7.神奈川県にて、
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by yuhu811 | 2014-11-11 16:56

「暴露 スノーデンが私に託したファイル」   グレン・グリーンウォルト

田口俊樹・浜野大道・武藤陽性/訳
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国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)に籍を置いていたエドワード・スノーデンが持ち出した、アメリカの機密文書の内容と、スノーデンがなぜそのような行動に至ったか、について詳らかに書かれている。インターネット世代はもちろんのこと、ジャーナリストや個人情報を守らねばならない仕事についている人の必読書。
現在、ドイツとブラジルが主導する、トラフィックが合衆国を通過しない新たなインターネットのインフラを構築するという動きがある。また、多くのヨーロッパの企業が、情報をNSAに渡さないとしてメールやチャットのサービスを提供しているので、善い方向への変化を期待したい。




画像は、2014.10.7.埼玉県内にて、
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by yuhu811 | 2014-11-06 15:27

「世間のひと」    鬼海弘雄

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鬼海弘雄さんの最新刊。一般人のポートレイト集なのだけれど、一般人と一括りにしてしまうにはあまりに個性的な人たちばかりが続く。浅草に三十年以上通って撮り続けているので、数年後の○○さん・・・という写真もあり、かなり興味深い。ポートレイトの下には、その人についての一言が書かれていて、その人の生活や歩いてきた道、等々、想像が膨らみ、ウフフ、と声が漏れることもしばしばだ。そして、自分と同じようなことを言ってる人に出会うと、なんだか嬉しくなる。文庫本なので、いつでも気軽に、「こんにちは~」と、本の中の人々に会えるのもまた楽しい。今日は、生きたいように生きよ、と言っているような気がする。




画像は、またも鬼海弘雄さんとはまったく関係ないけれど・・・2014.10.21.東京都内にて、
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by yuhu811 | 2014-11-05 12:35

「東京夢譚」    鬼海弘雄

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半年ほど前、空中に浮かんでいる人の写真を目にした。下に川があり、その上に浮かんでる。インドのようだからガンガーか?なぜ空中に浮かんでる?と気になって、鬼海弘雄さんの写真展"INDIA 1982-2011"と講演会に出かけた。空中浮遊しているように見えたけど、謎はすぐに解けた。川に飛び込んでいるところだそうだ。インドでは、沐浴の時こんなふうに、よく飛び込むのだそうだ。知らなかったなー。写真展はインドの人々の美しい写真だった。話の中で、これはインドの報告ではなく人間を撮っている、ということを何度か繰り返された。鬼海氏曰く・・・人間の考えでは到底創りえない美しい瞬間や驚きを撮っている・・・・一枚の写真を何度見ても飽きないのは何故なのか・・・・、等々、面白いこと、意外なこと、頷くことをたくさん話していただいて、不確かだったものが頭の中で文字になり、そして心の中が潤った~。それで、いくつか本を読んでみようと思い立ち、手にした中の一冊がこの「東京夢譚」だ。

2007年初版の写真集で、三分の一ほどがエッセーになっている。ここには人は写っていない。人の匂いのする街角が納められている。写真とともに、写した場所と年代が書かれているので、故郷として記憶に残っている東京に、思いを馳せることができた。あーそうそう、こういうところあってねーって・・・。エッセーも、大切なことをいろいろ書かれていてすごく面白い!




画像は、2014.7.12.東京都にて、
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by yuhu811 | 2014-11-03 16:55

11月

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ついこの間、あららと思ったら10月で、本日はすでに11月であらら・・・・。日めくりは超特急で年末に向かってる。
冷たい雨がふって、都内の街路樹も色付きはじめた。




2014.11.1.東京都
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by yuhu811 | 2014-11-02 17:43