たゆたふままに

「右の心臓」    佐野洋子

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9月中旬になった。秋めいてはきたけれど、日中日差しの下はまだ強烈で、熱帯夜もあり、寝苦しい夜がもう少し続きそう。

夏の始まった頃、佐野洋子の文に触れたくなって「右の心臓」を読んだ。洋子さん一家は戦後大陸から引き揚げて来たのだが、引き揚げ先は父方の実家の一部を間借りしての苦しい生活だったようである。家族一人一人との関係や、親族のこと、友人へのまなざしなど、当時小学生だった洋子さんが見たり感じたりしたことを、出来事は淡々と、人物は生き生きと語られていく。人はころころと普通に死んだもんだ、というようなことをどこに書いていた佐野洋子さんだが、これがその当時のことなのだろう。「右の心臓」とは亡くなったお兄さんの心臓が右側にあったことからつけられたものであろう。



2012.8.16.都内
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by yuhu811 | 2012-09-11 16:52 | Comments(0)